なーたん大好きだよ

2021年8月2日に悪性リンパ腫による食欲廃絶で亡くなったなーたん。その病状の始まりから治療、虹の橋を渡るまでの記録。

伊奴寝子(イヌネコ)社

なーたんの闘病の間,犬を飼っている友人がいろいろ話を聞いてくれていた。彼女はこれまでに2匹の犬を見送ったのだそうだ。


そうだ。ツラいのはわたしだけではない。ペットを飼っている、飼ったことのある、多くの人がこんな気持ちを経験しているか、これからも経験しなくてはならないのだ。ペットを家族として愛している人なら…避けて通れない道なのだ。彼女の話を聞きながらそう思った。


彼女はなーたんのために、ある神社にお参りに行ってくれた。その神社は「伊奴寝子社」。小田急線沿線の座間神社の境内にある小さな神社だ。



そしてこの頃は七夕が近かったので短冊に願い事を書いてきてくれたそうだ。



この絵は…と思いつつ…その気持ちが嬉しかった。泣けるぐらい嬉しかった。

ここを借りて…わかちゃん、ありがとう。


しかも後日、こんなものが届いた。




神様仏様、なーたんを元気にしてあげてください。

普段は信心深くなくて…ごめんなさい。こんな時ばかり頼ってごめんなさい。でもでも…なーたんの元気な姿が…もう一度見たいのです。


続く…

強制給餌

退院してから1週間、毎日近所の病院に通った。

水分の皮下点滴に加えて、この時はステロイドと食欲増進の為の薬を注射してもらっていたが、なーたんが食べ物に興味を示すことはなかった。


ある日会計を待っているとふと、展示されていた「ちゅーる」が目に入ってきた。動物病院限定で販売している(調べてみたらネットでも売ってますね)カロリー2倍の「エネルギーちゅーる」。少しの量で2倍の栄養。食欲廃絶のなーたんを心配する身には魅力的に聞こえる。


他の猫の闘病記によく「強制給餌」という言葉が出てきた。食べない猫にシリンジで餌を流し込む。その無理矢理な感じが嫌で避けてきたけど…いよいよそんなことも言っていられないのかも…。日々、なーたんの体重は減っている。このままだと衰弱死だ。


「猫 胆汁 吐く」


と検索すると…お腹が空きすぎている時にもこういうことが起こる、と書いてある記事がいくつかあった。

胃の中が空っぽすぎて胃液が胃を刺激しすぎて胆汁が逆流してきてしまうとか…。


もしこれなら…胃に何か入れた方がいいのかも、と言う思いでエネルギーちゅーるを2本、買った。


家に帰って早速、以前薬を飲ませるためにもらったシリンジ(針のない注射器)にちゅーるを少し入れてなーたんの口の端から差し入れてみた。


昔、そのシリンジを使って薬を飲ませた時は、激しく抵抗して逃げようと暴れたので、タオルにくるんで体を拘束して飲ませたが、今はもう、抵抗する力もなく、されるがまま。


「ごくん」


飲み込んだ!この方法で…少しでも栄養を…。なーたんの胃が動き出しますように。


強制給餌しても、すぐに吐いてしまうことはなかった。でも…1日に一度緑色の胃液を吐くことに変わりはなかった。


食べてくれたのは嬉しいけど…こんな少しじゃ栄養足りない。今日もまた痩せてしまった。昨日よりなーたんは弱っている…。


日々…私は焦りを感じていた。



どんなに弱ってもおしっこだけは頑張ってトイレに行くなーたん。がんばったね。

嘔吐

ご飯を食べないのも吐いてしまうのも全てストレスで,家に帰ってきたら急に元気になって食べ始める…なんて希望を抱いていた私だったが…どうやらなーたんの食欲廃絶はそんな単純なものではなかったらしい。


いろいろな種類のエサを準備して…なーたんの前に差し出してみるけど一瞬興味のありそうな素振りをみせるものの…口にするまでは至らない。水さえも…。


なーたんが退院して家に帰ってきて…まずショックを受けたのはやはりその痩せ方だった。今までのように背中を撫でたら…ゴツゴツゴツ…と背骨が手に当たる。


なーたんこんなに痩せちゃって…なんで何もたべないの。エサ箱を開ける音でニャーニャー鳴き出して、エサを取り出す私の腕にしがみついてねだる…あの日のなーたんは…どこにいっちゃったんだろう。切なかった。


最初に手術した近所の病院に水分補給の皮下点滴をしてもらいに行って体重を測ると…6月の初めにここに来た時の半分近くになっていた。5キロ近くあった体重が3キロ弱に…。人間なら50キロの人が30キロになったと思うと…どれだけ大変なことかわかる。


それはそうだ。1ヶ月近く何も食べず、そしてほぼ毎日吐き続けている。痩せないはずがない。


なーたんが吐いたところのタオルを洗うことが私の日課になった。

なーたんは私のベッドにいることが多かったのでベッドの上にペットシーツを敷き詰めたが、それだけだと私もなーたんもら寝心地がわるいので、その上にタオルケットや使い古したタオルをさらに敷いた。吐く瞬間が分かった時は咄嗟になーたんの前にペットシーツを差し出すのだが大抵間に合わなくてタオルケットにかかってしまう。そのタオルを洗う。


吐き終わると少し楽になるのか少し元気になる。だいたい1日か1日半に一度ぐらい吐いた。


慣れると…その洗う作業も嫌じゃなかった。むしろなーたんには「吐いて楽になってよかったね」という気持ちになった。

もちろん吐かないで、元気になるのが一番なのだけど。


続く…


水は飲まないのに何故か水を入れた器の前でじっとしていることがよくあった。飲みたいけど飲めなかったのかな。それは2年前に亡くなったふーたんも同じだった。

ふーたん(亡くなる少し前)