なーたん大好きだよ

2021年8月2日に悪性リンパ腫による食欲廃絶で亡くなったなーたん。その病状の始まりから治療、虹の橋を渡るまでの記録。

レミゼラブル

なーたんが退院して10日ぐらい経った頃、私は悩んでいた。なーたんが具合が悪くなる前に買っていたチケット、ミュージカル「レミゼラブル」の当日が明日に迫っていた。

仕事は仕方ないにしても…遊びに行ってその間に何かあったら…自分は後悔するだろうなぁ。


でもこのチケットを取るのにはだいぶ苦労した。2年に一度しかないし、このミュージカルを観るのは20年以上ぶりだ。ずっと観たかったのだ。


明日は娘が昼過ぎまでいるので、なーたんが1人きりになるのは1時から私が帰ってくる5時までの4時間…。この間に何もなければ…。


私は思い切って行くことにした。


行くまではよかった。1時までは娘が家にいるという安心感あった。

しかし娘が出かける1時…ちょうど開演の頃からソワソワし出した。


「なーたん。1人きりで逝かないで…」


あんなにおじさん先生に家で死ねるだけで幸せだよって言われて納得したはずなのに…なーたんを置いてミュージカルを観に来たことを後悔した。

最後はアンコールを見ずに劇場を後にした。


急いで帰って2階の私の部屋に駆け込むと…なーたんは朝、出かける時のまま、そこにいた。


「なーたん‼︎」と私が駆け寄ってもキョトンとしてそこにいた。


「なーたんよかったー‼︎よかったー‼︎」


なーたんをギュッと抱いて泣いた。


飲まず食わずでもう10日…なーたんの最期が近づいているのだ。


続く…


このころから寝室を抜け出しては洗面所の冷たい床に移動するようになった。他の方の闘病記を見ても猫は死期が近づくと冷たいところを好むようになるようだ。