試験開腹
試験開腹…お腹を開けて、お腹の中で何が起きてるのか、胃腸が止まってしまってる原因はなんなのか突き止める。
これでわからなければお手上げだ。
その日は私は仕事に行っていた。仕事をしながらも祈る思いで早くなーたんのところに駆けつけたかった。
原因がわかって、それを取り除くことができますように。なーたんがまだご飯が食べられるようになりますように
仕事が終わって家に着き、しばらくするとA先生から電話が来た。
「試験開腹終わりました。原因らしきものがわかりましたよ。やはり癒着が起きてたみたいです。癒着は剥がしてもうくっつかないように補強したので…これで胃腸は動き出すと思いますよ」
私はすぐ面会に行くことにした。
原因がわかった‼︎これでなーたん食べられるようになる‼︎安堵の気持ちでいっぱいだった。
面会に行くとなーたんはもう麻酔から覚めていた。
「前回もそうでしたが麻酔からの回復が早いですね」
先生が言った。
先生は少し興奮したように試験開腹の結果を報告してくれた。
腹腔内の手術の後にはよくあることなのだが手術した部分が回復する際に他の臓器と癒着を起こして折れ曲がったり圧迫されたりして閉塞し、通りが悪くなる。
まさになーたんのお腹でそれが起きていて、癒着部分を剥がし、折れ曲がっていたのでもう曲がらないように補強した(どういう風にかは忘れてしまった)、と。
「開けてみて良かったですよー。」
先生も嬉しそうだった。
ただ、良い知らせだけではなくて悪い知らせもあった。膵臓がかなり炎症を起こしていたこと、血液検査結果では糖尿病になりかけていること。これらの治療も並行して行う必要がありそうだ、と。
少し不安にはなったが、それでも希望が持てた。治療しながら、もう少し一緒にいられる。一度は元気になる可能性がある。
帰り際にA先生の助手だという若手の獣医さんが
「本当なら手術中に何かあってもおかしくない状況だったと思いますよ。ほんとに体力のある子ですね」
と言ってくれた。
自分が褒められたように嬉しかった。誇らしかった。
…でも、今となってはお笑い草だ。…褒められていい気になって…ここまでなーたんを頑張らせてしまった自分を叱ってやりたいよ。
続く…
我が家に来た日のふーたん(左)となーたん(右)
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