なーたん大好きだよ

2021年8月2日に悪性リンパ腫による食欲廃絶で亡くなったなーたん。その病状の始まりから治療、虹の橋を渡るまでの記録。

獣医学部付属医療センター

大学付属の医療センターに転院してよかったのは、ここにはたくさんのスタッフがいること。獣医学部の学生や研修医、入れ替わり立ち替わりやってくる。

だから入院してても24時間とは言わずとも定期的に見廻りがあるし、休日だって誰か当直がいるらしい。

そのことに私は少し安堵を覚えた。


2回目の手術も無事終わった。面会に行くと以前の病院よりかなり広い入院室で他のケージにも何匹か猫が入れられていた。


2回目の手術を終えたなーたん。まだ振り出しに戻った。早く家に連れて帰りたかったのに。弱々しくこちらを見つめるなーたん。ごめんね。早く帰りたいよね。猫にとって…お家が一番だもんね。ましてや、怖がりのなーたん。どんなに辛いだろう。


「麻酔から覚めるのが早いですね。2回目の手術なのに意外と元気です。もう顔をあげてるし。」


面会に行った時にスタッフの人に言われた。顔つきがしっかりしているせいか…なーたんはいつも実際より元気そうにみえる。だから私は…まだ大丈夫かも、もう少し頑張れるかも、と…なーたんを頑張らせちゃったのかもな。


また、腸がちゃんとくっつくか、それに怯える日が何日か続く。


「かなりしっかり縫合したつもりです。」


腫瘍科の教授であるA先生は言った。


「でも…その部分がガンに覆われていると…くっつかないことはあるので…」


不安な気持ちを抱えつつ…3日が過ぎ、金曜日…仕事の昼休みに携帯を見てみると、医療センターから不在着信が入っていた。


「また…だめだったのか…?」


震える指で電話する。


受付が取り次ぎ、A先生が出た。鼓動が止まらない…。


「まずは縫合したところですが…くっついたようですね。もう大丈夫だと思います。」


悪いことばかり想像していた私は体の力が抜けていくのがわかった。


「ただ…そろそろ何か食べてもいい頃なんですけど…何も食べないんですよ。このままだと衰弱してしまうので首の静脈から栄養の点滴を入れてもいいですか?」


1回目の手術の後から始まった嘔吐が…まだ続いていた。胆汁を含んだ緑色の胃液。


「お願いします。」


ネットでいろいろな猫の闘病記を覗いたけど、だいたいは手術後しばらくすると多少は食べていた。その後病気が悪化して亡くなっている子でも、一度は少し元気になって食べている。


なーたんは手術してから一度も食べていない…何故なんだろう。この疑問はなーたんが亡くなるまでずーっと私を悩ませ続けた。


続く…


我が家でだらけるなーたん(元気な頃)