誤算
2021年6月10日木曜日、なーたんの手術日。
その日私は仕事があったので大学生の娘になーたんを託した。
「先生によろしくお願いしますって…言っておいてね。」
あとは手術後、食べられるようになってきたらあげてもらえるように、我が家でいつも食べているフードを持たせた。
お昼…もうすぐ手術が始まる…。手術が無事おわりますように…。
仕事が終わってしばらくすると、病院から連絡が入った。
「手術、無事終わりました。」
ほっとしたけど…心配なのはこれからだ。まず繋いだ腸が剥がれてしまうことがある、と。そして癌である限り転移の可能性が高い。どちらにしろ…なーたんと過ごせる日々は長くはない。
とにかく今できることを精一杯やるしかないのだけれど…これから先のことを考えると切なさで胸が潰れそうだった。
家に帰るとすぐ、病院に駆けつけた。
まずは先生が手術の概要を説明してくれた。
癌は大腸から小腸にまたがってできていたため、そこを切り取って大腸と小腸をつなぐ、というリスキーな手術になったという。
とりあえずは縫合部分がつながることが一つのヤマとなる。
切り取った腫瘍は病理検査に出され、結果は1週間後。
そしてなーたんのケージに案内された。
なーたんはケージの隅の方で小さくなっていた。もうだいぶ麻酔から覚めていて、私に気付くと弱々しく鳴いた。
この日私が一番ショックを受けたのは入院中、夜中や休診日は誰もいなくなるということ。
私が驚くと
「個人病院はだいたいそうですよ」
先生はあっさりそう言った。
ずっとはいなくても…重篤な患者が入院している時だけでもたまに見廻りにくるとか、そういうものだと思っていた。
もし、夜中に急変しても…朝にならないと気付いてもらえないの?そのまま死んじゃったら…たった1人で亡くなるの?
もう考えただけで泣きそうだった。
前もって調べなかった自分のミスだ。それがイヤなら見廻りがある病院を探すべきだったのだ。
急なこととは言え冷静な判断が出来なかった自分を責めた。
でも今の状態で動かすわけにもいかない。今はとにかく任せるしかない。苦しい気持ちを抑えて家に帰った。
続く…
寄り添うなーたんと娘(元気な頃)
このブログへのコメントは muragonにログインするか、
SNSアカウントを使用してください。