なーたん大好きだよ

2021年8月2日に悪性リンパ腫による食欲廃絶で亡くなったなーたん。その病状の始まりから治療、虹の橋を渡るまでの記録。

迷い

先生の腺癌についての説明はこうだった。


治療しないと余命はおよそ2ヶ月。腫瘍を取って抗がん剤治療をしても半年〜一年。

最悪の場合は腫瘍を取った時に癌に覆われた傷口と傷口がつながらずに術後に亡くなる場合もあります、と。


目の前が暗くなった。長くて一年…。あと10年は生きてくれると思っていたのに…。

術後に亡くなる、と聞いて少し躊躇した。でも取らないと腸が塞がって明日にでも亡くなるかもしれない。もうやるしかないのだ。


手術は3日後のと6月10日に決まった。


それまでの間少しでも楽になるように、と、腫瘍の腫れを抑える薬を注射してもらった。


「では、10日の午前中に来てください。」


帰ってきて、私は腺癌についてネットで調べまくった。腫瘍を取ってもたいていは転移していて長くは生きられないこと。たまにだが抗がん剤をうまく使って長く生きられた猫もいること。


たくさんの闘病記も読んだ。猫や犬の病気で苦しんでいるのは私だけではない。動物を家族に迎えた人たちは…いづれどんな形であれ、その子達の病気や死を目の当たりにしなければならないのだ。そう思うと少し勇気が湧いた。


家に帰ってみると、薬が効いたのかなーたんは少し元気そうで、ご飯を出してみると全部とは言わないけど、結構食べた。


家の中を歩き回ったり、私や娘の後をついて回ったり甘えたりする余裕も出てきた。


そんな姿を見て迷いが出てきた。


「ほんとに手術が第一選択なのかな…。」


でも、手術をやめる、とまでは決心できなかった。


この手術までの3日間が…なーたんが自分からご飯を食べたり、元気に私の膝に乗ってきたりした最後の思い出になった。


大好きだったなーたんのおてて